ハウリング対策の、イコライザーの使い方
ハウリングが出たとき、イコライザーで下げる。ここまでは、どこにでも書かれています。
ただ、実際にやろうとすると、決めることがいくつも出てきます。 どのフェーダーか。どれだけ下げるか。何本まで下げていいか。返しと客席のどちらを下げるか。
このページでは、その順番で説明します。
その前に、どの周波数かが分かっていないと始まらない
下げるフェーダーを決めるには、いま何ヘルツでハウリングしているかが要ります。 そして、その周波数は会場ごとに違います。
測り方は ハウリングの周波数を、スマホで特定する に書きました。 ここでは、周波数が分かったあとの話をします。
下げるのは、まず1本だけ
31バンドのグラフィックイコライザーは、1本ごとに中心の周波数が決まっています。 出た数字にいちばん近いフェーダーを、1本だけ下げます。
※31バンドのグラフィックイコライザーは、縦に並んだフェーダーで下げます。 ヤマハの解説でも「スライドボリューム」と書かれています。 HI・MID・LOWだけのミキサーは、回すつまみです。
本数を増やすほど、声は細くなります。ヤマハの解説にも、こう書かれています。
下げるポイントばかりが増えて全体の音量が下がり、パワーのない音になってしまいますし、 音響特性が乱れて音の明瞭度が下がってしまうこともあります
出典:ヤマハ
まず1本。それで止まらなければ2本目。数を増やすほど、下げた分だけ音は痩せます。
どれだけ下げるか
ヤマハのプロオーディオの解説に、数字が書かれています。
ハウリングポイントが見つかったら、そのスライドボリュームを3dB~6dB程度下げます
まず3dB。それで止まらなければ6dBまで。いきなり大きく下げると、その帯域だけ下がりすぎて声が変わります。
下げて稼げる音量にも限りがあります。同じ解説には、この作業を繰り返して 「ハウリングなく必要な音圧レベルが得られるようになれば完了」とあります。 何本も下げないと足りないときは、イコライザーではなく、マイクの位置か本数の方に原因があります。
返しだけ下げればいいのか、客席も下げるのか
返しのイコライザーだけを見て決めることはできません。 会場そのものが、特定の周波数を強めるからです。Genelecの解説には、こうあります。
部屋のサイズが音の波長に合えば、音響エネルギーが累積して共鳴になります。 この共鳴音は室内の定在波となり、共振周波数に応じて、室内の特定の位置で音圧極大および極小になります。
出典:Genelec
立つ位置が変われば、強く出る周波数も変わります。 だから返しだけでなく、客席側の音を出した状態でも確かめます。
もう一つ、聴衆が入ると会場に響く音が変わります。ヤマハの解説にはこうあります。
本番は聴衆の身体・衣服に音が吸われ、会場に響く音が変わってしまいます。 そのため、本番中にも音を聴きながら微調整が必要です。
出典:ヤマハ
リハーサルで合わせた設定が、本番でそのまま使えるとは限りません。
低いところを下げると、音が軽くなる
低いところは、声の土台になっている部分と重なります。だから下げると軽く聞こえます。 シュアーの解説には、低い側の目安も書かれています。
ハウリング音がうなり声のように聞こえる場合、250~500 Hzをカットしてみます。 さえずりのように聞こえる場合は1 kHz付近、笛や金切り声のように聞こえる場合は2 kHzより上と考えられます。 80 Hz以下または8 kHz以上でハウリングが起こることはまずありません。
出典:シュアー
※チェックワンツーは、150Hzより下については表示だけで、ハウリングの判定はしていません。 iPhoneの内蔵マイクが低い音を正確に拾えないためです。 それより低いところで起きている場合は、アプリの数字ではなく、 マイクの持ち方と立ち位置から見てください。
イコライザーは、対策の最後の方
ヤマハサウンドシステムの解説は、ハウリング対策をこの順で挙げています。
- マイクの本数を少なくする
- マイクとスピーカーの位置を調整する
- マイクの向きを確認する
- 適切なマイクを選定する
- 入出力レベルを適正に調整する
- イコライザーを使用する
出典:ヤマハサウンドシステム
イコライザーは6番目です。下げても止まらないときは、1から5に戻ってください。 とくにマイクの本数と向きは、その場ですぐ変えられます。
マイクを持って立ち、無音のまま15秒、そのあと「チェック、ワン、ツー」。 約30秒で、その場所でハウリングを起こしやすい周波数が数字で出ます。 ダウンロードは無料です。会員登録もありません。
App Store からダウンロード次に読む
- ハウリングの周波数を、スマホで特定する ── 下げるフェーダーを決める前に、何ヘルツかを出す手順です。
- ハウリングを起こしやすい帯域を、自分で見つける手順 ── 画面を1枚ずつ載せた、くわしい手順です。
- ハウリングのよくあるご質問
- 文化祭のライブで、ハウリングを出さない ── 体育館のステージで、本番前の30秒にやることです。
- 体育館でハウリングする原因と、その場での直し方 ── 響きが長い場所で、どの帯域から下げるか。
- 公民館やカラオケでハウリングする原因と、その場での直し方 ── 天井が低い部屋と、床が硬い部屋の違いです。